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2016年5月19日木曜日

ドイツのビンテージオーディオショップ、ビンテージジョインに久しぶりに行ってきました。

 
先日数年ぶりに代々木のビンテージジョインに行ってきました。ここはドイツのビンテージオーディオや同店オリジナルのアンプを製作販売するオーディオショップです。店主はキヨトマモルさんと言って、最近は季刊アナログでもビンテージオーディオに関する寄稿をされている、超のつくビンテージオーディオ遍歴者です。ビンテージオーディオのみならず、クラシックカーやビンテージカメラ、レコードに関して、膨大な知識をお持ちでいらっしゃる。

 これは同店オリジナルのモノラルアンプ。ドイツの変電設備で使われるボックスのデッドストックを数十個丸ごと仕入れ、これにアンプ回路を仕込んでアンプに仕立ててしまったという、キヨトさんならではの着眼点で造られたアンプです。数年前に同店のブログで限定製作品として掲載され、すぐに完売していたので、もう無いものと思っていたのだけど、尋ねてみたら受注製作で製作可能との事。やったー!これはもう買うっきゃない。入力はRCAか3.5ミニのいずれか。本来は電源の抵抗値を変えるために取付けられているノブをそのままボリュームコントロールに転用。背面に入力と、スピーカー出力があります。このアンティーク感漂うアンプに誘われて、私は来店したのです。色は基本的に3色あってキヨトさんが塗られています。これはテレフンケンでよく使われていたグリーンをイメージした色だそうです。この色で私も1台注文しました。断っておきますが、これはモノラルアンプです。ステレオで使うには2台必要ですが、まぁモノラルで割り切って使うのがオツってもんです。1台4万円弱だったかな。ケースは金属製に見えて、実はプラスチック製ですが、全然安っぽくないのです。

こちらは先月の月刊ステレオに掲載された蓄音機のラッパ。同店が輸入販売しています。値段は12,000円。詳しくは月刊ステレオの5月号か、ビンテージジョインの特設ページをご覧下さい。スピーカーユニットが根元に仕込まれていて、実際に音が出ます。しかもこれが相当に音が良い。ホーン特有の伸びやかな、ふわーっとした広がりのある、和やかな音。聴く音楽を選ぶけど、これで60年代のモノラル盤なんか聴いたらはまるんだろうな。

 こちらは東ドイツのなんというメーカーだったかな?スタジオのミキシングコンソールに組み込まれていたアクティブフェーダーを木製ボックスに組み直したプリアンプ。入力1系統。すでに買い手が付いてしまっていたそうですが、せっかくなので聴かせてもらいました。これがまた実に雰囲気が良い。なんというか、ビンテージジョインの音は、かたくるしさがないんですよね。すんなりと伸びやかにストレス無く自然な音が出てくるんです。この店に並んでいるどんな機器からも。どれもそれぞれ音は違うんですけど、これはダメだなぁと思う音が一つもない。この店の雰囲気もあるんでしょうが、決して高価なケーブルを使っているわけでもなく、むしろあえて安いケーブルやコンセントを吟味して使っていたりして、独自の選択眼をもっていらっしゃるんです。この着眼点は、私が最近実感する、一見オーディオ用でないチープなものに、意外と良い音のものがあるという、そういう製品探しと共感するところがあり、とても参考になります。

こちらドイツのイソフォンのイソネッタというモノラルスピーカー。なんとエンクロジュアは紙を固めたもので出来ているそう。どうりで持ち上げたときも軽かった。これがまた爽やかで耳に心地よい!イソネッタはイソフォンの家庭用のデザインに拘った小型スピーカーに付けられた名前で、時代時代によって全然形が違うらしいです。

この右手の白いのもイソネッタで、これは80年代のイソネッタだったかな。左手のが60年代のイソネッタ。この個体は通常のイソネッタとは違って、フロントのスピーカーグリルが広いレアものらしいです。いままでビンテージジョインが仕入れた数十台のイソネッタの中でも、このグリルが広いタイプは数台しかなかったとか。イソネッタは奥行きの長いドイツの住宅において、窓際にラジオを置き、そこから家の奥のほうの部屋までケーブルを引張り、このイソネッタを設置して、ラジオの電波が入らない部屋でもラジオが聞けるようにするために使われていたもののようです。ドイツの家庭で使われなくなったイソネッタが各家庭の倉庫に眠っていて、それが時おりアンティーク品として放出されて、それを輸入されているそうです。ドイツ人は物持ちがよいですな。気になる人はビンテージジョインに行ってみて下さい。私は少し顔出す程度で、すぐに帰るつもりだったのですが、結局3時間ほど入り浸ってました。

キヨトさん、本当に商売っ気がないので、これで本当に儲かってるんデスカ?と質問したところ、 昔はこういう好きな事に打ち込んでいるバカな大人がたくさんいたけど、今の世の中はそういう大人がいなくなってしまってね。みんなせせこましく生きている。そういう面白く無い大人を見て育つ子供は、つまらない大人になってしまう。僕は自分がこういうバカに見える生き方をすることで、これからの人たちに、人生って楽しいんだよということを見せてあげたいんだよ、とおっしゃれていた。キヨトさんの生き様に乾杯!私も後を追ってますよ。

ビンテージジョインは新宿から歩いて20分くらいの趣のある古びたマンションの一室にあります。代々木からだったらもう少し近いかな。私はいつも新宿の南口から歩いて行きます。住宅街の一角にあって、場所はけっこう分かりにくいです。こんなマンションに住みたいなとも思いました。

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