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2012年5月14日月曜日

春のヘッドホン祭り2012レポートその1

日本で一番元気のいいオーディオイベント、フジヤエービック主宰の「ヘッドホン祭り」。今回は2012年5月12日土曜日に開催された「春のヘッドホン祭り2012」をレポートします!会場は恒例の「スタジアムプレイス青山」。東京メトロ外苑前駅徒歩5分のところにあるイベントビルです。

ちなみに同イベントの正しい表記は「ヘッドホン祭り」なのか「ヘッドフォン祭り」なのか?フジヤエービックの公式サイトでも両名が混在しており、定かではありません。

ヘッドホン祭りの7階会場入り口。イベントガールが盛大にお迎えする中、怒濤の来場者が流れ込みます。

私は会場に8時過ぎ入りしたのですが、その時点で1階には開場待ちの来場者が列をなしていて、開場後も入場までに1時間あまり掛かった人もいるくらい、大にぎわいでした。

これは昼過ぎの様子ですが、会場はすさまじい賑わいです。主催者曰く、来場者は3,500〜4,000名に達したそうです。前回の秋のヘッドホン祭り2011が3,000人あまりだったので、確実に上り調子のイベントとなっています。

7階の各ブースでは、来場者が各社の新製品を黙々と試聴。
今回のヘッドホン祭りは7-8階のメインフロア、9階の個室展示に加え、9-10階に製品発表レセプションホールを設けて、一挙にフロア拡張。製品発表ではゼンハイザーのHD700の発表が長蛇の列で、ものすごいことになったいたそうです。

フジヤエービックの特価品販売コーナーは長蛇の列だったそうで、相当な特価品の出物がたくさんあったそうですが、私も見れませんでした。

7階から8階への階段を上がると、PCオーディオイベントフロアがあります。

PCオーディオイベントフロアでは、オーディオメーカー各社のUSB-DACやネットワークオーディオプレーヤーの比較試聴が行われていました。私が訪れたときは、角田先生によるハイエンドネットワークオーディオプレーヤーの試聴が行われていました。

PCオーディオフロアの入り口には、共同通信社の書籍コーナーが。同社発刊によるPCオーディオfanの最新号Vol.6含め、同社のPCオーディオ関連本が並んでいました。

さて、こちらは9階905号室のオヤイデ電気エレクトリ共同展示ブース。

われらがオヤイデ電気は、自社ブランドのオヤイデ電気からヘッドホン/イヤホン関連製品「HPCシリーズ」、オヤイデ電気が輸入販売するヘッドホンアンプブランド「FiiO」、オヤイデ電気が輸入直販するイヤホンリケーブルブランド「Zephone」を展示。

エレクトリは、米国Apogee社のオーディオインターフェース「Duet2」「Symphony I/O」、ドイツはSPL社のヘッドホンアンプ「Phonitor」「Auditor」を展示。いずれも稼働状態で、エントリークラスからハイエンドまでPCオーディオのデモ試聴を行いました。

では、オヤイデ/エレクトリ展示ブースの詳細をご紹介しましょう。
まずは、Mac book Pro 13inchとDuet2を組み合わせたエントリークラスのPCオーディオヘッドホン試聴システム。Mac book ProとDuet2とはUSBケーブルで接続し、USBバスパワーで稼働させています。なお、このデモ試聴では、Duet2の制御ソフト「Maestro2」を使わずに音声出力を試みています。組み合わせたヘッドホンはシュアーのSRH940。オヤイデ電気製のSRH専用ヘッドホンケーブル試作品を用いて、Duet2とSRH940本体とを接続しています。Macでの再生ソフトはiTunesを使用。設置面積もプライスもお手軽ながら、十分に本格的な音楽再生を楽しめるデスクトップトップPCオーディオシステムのご提案です。



このデモではオヤイデ電気のプロ向けブランドNEOから発売されているUSBケーブルのエントリーモデルd+USB ClassBを使っています。


Duet2は本来、DTMの音楽製作用に使われる機器で、Mac専用です。具体的には、パソコンとアナログ機材とを中継し、音声信号のA/DおよびD/A変換を行う「オーディオインターフェース」と呼ばれるカテゴリーの機器です。しかしながらDuet2は、PCオーディオ用のUSB-DACとしても非常に高性能な魅力を備えています。

Duet2は実売5万円代とリーズナブルながらずっしりとした重みがあり、アルミダイキャスト製の筐体はMacに馴染みやすい梨地仕上げが施され、高級感に溢れる質感です。

Duet2はコンパクトな手のひらサイズのコンパクトな筐体ながら、192kHz/24bitまでのデジタル信号に対応。往年のアポジーサウンドを継承し、ボーカル帯域などの中域はリズミカルで躍動感に溢れ、高域に絶妙なスパイスを効かせ、低域のレスポンスの良さが光ります。オーディオマニアの間でも、話題になったアポジーのDA1000の明瞭かつ高鮮度なアポジーサウンドを手軽に味わえる、まさにPCオーディオのUSB-DACにうってつけのオーディオインターフェースなのです。


Duet2は、Apogee社が公開する専用ソフト「Maestro2」で入出力やサンプルレートなどの細かい制御を行います。しかしながら、この専用ソフトを使わずに、Duet2とMacとをUSBケーブルで接続するだけで、MacはDuet2を認識し、音声出力が可能です。このシステムのデモでは実際にMaestro2を使わずに、MacからDuet2への音声出力を行っています。ただし、Maestro2がない場合は、Duet2本体のインジケーターが点灯せず、Duet2本体のボリュームが利かないなどの制約があり、音量はマック側で行うことになりますが、それでもDuet2の高音質を十分に堪能できます。Maestro2はMac OS 10.6以上に対応のソフトなので、MacOS10.5のMacの場合、このデモ展示のようにMaestro2無しで接続しても使えるわけです。


Duet2は前面に1/4ステレオフォーンジャックを備え、ヘッドホンアンプとしても機能します。このヘッドホン出力がこれまた優秀で、普段使いのヘッドホンリスニングではDuet2のヘッドホン出力で十分に楽しめます。


さて、こちらのデモ試聴では、Mac Book ProとDuet2とSPLのヘッドホンアンプ「Model 2911 Auditor」とを組み合わせたミドルクラスのPCオーディオシステムをご提案。ちなみにこのMacは私の私物で、私の音楽コレクションが増設ハードディスクに500G分くらいAIFFファイルで詰め込まれています。

再生ソフトは高音質で有名なAudiophile Engineering社のFideria(フィデリア)を使用。フィデリアは、iTunesの音楽ライブラリを再生でき、Mac用音楽再生ソフトの中でもトップレベルの高音質。操作も分かりやすく、iPhone/iPod/iPadからの遠隔操作アプリもオプションで備えられ、Mac App Storeで1,700円とお手軽な値段で買える、高音質なMac専用音楽再生アプリケーションです。


ヘッドホンはスタジオモニターの定番AKGのK240Mk2をあてがい、ヘッドホンケーブルにはオヤイデ電気製のAKG専用交換ケーブルHPC-X62を用いました。

ケーブルはオヤイデ電気のd+USBシリーズのトップモデルd+USB Class Sを使用。

Auditor (オーディター)はドイツの誇るスタジオ向け機材の総合メーカーの製作する高性能ヘッドホンアンプで、録音スタジオのモニター用ヘッドホンアンプとして高忠実再生を目指して設計されています。その音質の定評から、海外でのオーディオショーでは軒並みこのAuditorがヘッドホンリスニングのデモ機として使用されるなど、リファレンスヘッドホンアンプとして名高い製品です。値段は11万円弱と少し高額ながら、少々高額でも音質的に失敗のないヘッドホンアンプをお探しの方に一押しの製品です。

 
Auditorはスタジオでの使用を想定されて設計されているため、入出力はXLR端子です。XLRの極性は2番HOT仕様です。電源ケーブルはオーディオ機器でおなじみのIEC60320-C14規格なので、オーディオ用電源ケーブルが差し込み可能です。電源スイッチはインレットと一体化された背面にあります。日本や米国での使用を想定した115V入力と、ヨーロッパやアジア圏での使用を想定した230V入力の電源切り替えスイッチが背面に備えられています。

このミドルクラスPCオーディオシステムでは、USB-DACにApogee社のDuet2を用いているわけですが、音質面で問題となるのが純正のブレイクアウトケーブル。PCオーディオで使うには貧弱すぎて音質もほどほど。PCオーディオでは不要な入力ケーブルもあって、これがDuet2をPCオーディオで使う際のボトルネックとなっていたのです。また、このブレイクアウトケーブルをアンプに接続する場合、別途XLRケーブルが必要となることから、接点が増えることでの音質劣化、コスト増加、コネクター部分が邪魔になるなどの問題もあったのです。

そこで私作りました!出力のみのオヤイデ製Duet2専用高音質ステレオRCAケーブルを!オーディオみじんこシグネチュアモデルとして数量限定での登場です!このミドルクラスシステムのデモ試聴においても、このDuet2専用高音質ステレオRCAケーブルを使用しています。Duet2専用高音質ステレオRCAケーブルは、純正に比して、解像度が飛躍的に向上し、帯域レンジもハイからローまで伸びきって、これぞ本来のアポジーサウンドという、ベールが何枚も剥がされたかのような鮮度向上が実感できます。Duet2をPCオーディオに使用するには、Duet2専用高音質ステレオRCAケーブルが必須と言い切れます!

Duet2専用高音質ステレオRCAケーブルのケーブルには、オヤイデ電気のヘッドホンケーブルで定評のある、PCOCC-A導体採用のHPC-22Wを使用。RCAプラグにはACROSS750RRやGAC212Rに用いられている、オヤイデ製の銅合金削り出し銀ロジウムメッキ高級RCAプラグを使用。Duet2への差し込み用コネクターには、純正ケーブルと同じ高密度I/Oコネクターを装着し、互換性も完璧。

なお、このDuet2専用高音質ステレオRCAケーブルは、今回のイベントの7階オヤイデ販売ブースで先行特価発売(1.3mもの7,000円、2.5mもの8,000円)しましたが、近いうちオヤイデ電気オンラインショップで限定販売予定です。また、現状ではRCA出力バージョンのみとなっていますが、XLR出力バージョンも製品化予定です。さらにはDuet2とのセット販売も予定していますので、Macユーザーで、手頃でデザイン性がよく、高音質なPCオーディオ再生を望む方は、Duet2とDuet2専用高音質ステレオRCAケーブルのセット販売にぜひともご期待ください!


世界的にみても、Duet2をPCオーディオに使用するというのは、いままでほとんど例がなかったのですが、その原因として、出力のみに特化したサードパーティ製のDuet2専用高音質ブレイクアウトケーブルが皆無だったことにあります。それは、Duet2接続用に特殊なI/Oコネクターを使用していることと、Duet2専用高音質ブレイクアウトケーブル自体があまりにニッチな製品であって、どれほどの需要が見込めるか未知数であることが挙げられます。さらに言うならば、Duet2がPCオーディオ分野でほとんど活用されていないのには、もっと根本的な原因があります。それはアポジーおよび代理店が、PCオーディオ市場への参入をほとんど考えておらず、オーディオ雑誌各社への売り込みも皆無に等しく、故にオーディオ雑誌でアポジー製品が取り上げられる機会が数えるほどしかなく、Duet2を含めたアポジー製オーディオインターフェースが、高音質にも関わらずPCオーディオ分野で話題にならない原因です。一方、アポジー製品とライバル関係にあるドイツのRME社のFire Faceシリーズは、PCオーディオ分野に見事な浸透をみせています。BabyFaceやFireFaceUCをはじめとしたRMEのオーディオインターフェースがPCオーディオ分野で愛用者が多い理由として、国内販売元であるシンタックスジャパンがPCオーディオ分野に積極的な進出を行ったことにあります。試聴デモイベントおよびオーディオ雑誌への広告掲載、PCオーディオにRME製品を使用することを促進するチラシおよびマニュアルの配布、出力のみに特化したブレイクアウトケーブルの発売など、シンタックスジャパンのPCオーディオ分野での力の入れようは凄まじいものがあります。



さて、こちらのシステムは、Mac Book Pro15inchとDuet2にパワードスピーカーを加えたニアフィールドリスニングシステムです。パワードスピーカーには、米国のKRK社によるVXT-4を使用。このMac Book Pro15inchはHDの代わりにSSDを搭載した、PCオーディオ専用Macで、我が社のリファレンスPCです。



VXT-4はペア定価68,000円のお手頃価格ながら、質量6.3kgと重量感のある造り。スタジオ用モニタースピーカーとして安定した性能を誇り、このようなPCオーディオ用の卓上システムにもうってつけのスピーカーです。黒モデルと白モデルがあります。VXT-4はパワードスピーカーなので、当然ながらアンプ(45W)が内蔵されており、アンプを買い足すなどの余計な出費やアンプの置き場所にも困らないというメリットもあります。Duet2とVXT-4とは、前述の「オヤイデ製Duet2専用高音質ステレオRCAケーブル」を使用。なおVXT-4には、RCA入力がありませんので、このデモではXLR/TRS入力ジャックにRCA-TS変換プラグを仲介して、RCAケーブルを接続しています。

USBケーブルにはd+USB Class Aを使用しました。D+USBの3種の中で、芯のある、くっきりはっきり明瞭な表現力が人気のUSBケーブルです。

このシステム提案は、パソコン+オーディオインターフェース+パワードスピーカーのシンプルなデスクトップシステムで、サブのオーディオシステムやコンパクトなオーディオシステムを望む、多くの方々にお勧めできるものです。すなわち、据え置き型の大掛かりなハイエンドオーディオシステムは所有せず、音源はPCのみにあり、低コストで高音質再生を目指し、場所をとらず、シンプルでデザイン性がよく、ヘッドホンでもスピーカーでもリスニングしたい人にとって、さくっと普段使いできる理想的なオーディオシステムと言えるでしょう。

さて、お次ぎはヘッドホンリスニング用のPCオーディオハイエンドシステムです。Mac Book Pro15inch+Apogeeの最高峰オーディオインターフェースSymphonyI/O+SPLの最高峰ヘッドホンアンプPhonitor+ゼンハイザーの最高峰ヘッドホンHD800の組み合わせです。

Mac Book ProとSymphonyI/Oとを繋ぐUSBケーブルには、オヤイデ電気の最高峰Continental5S 0.6mを使用。

Mac Book Pro15inch/23万円+SymphonyI/O/実売35万円+Phonitor/実売24万円+HD800/実売16万円+Continental5S 0.6m/2万円=総額100万円相当のシステムです。

SymphonyI/Oには8x8 analog I/O+8x8 AES/optical I/O Moduleがスロットインされています。SymphonyI/OとPhonitorとの間は、D-Subコネクター+FTVS-910+Focus1からなるオヤイデスタッフ特製ケーブルが使用されています。この特製ケーブルはいまのところ非売品ですが、SymphonyI/Oユーザーからのご希望があれば要見積もりの上、受注生産も検討します。




 Phonitor(フォニター)は、オーディターと基本回路を同一に、イコライザー回路を追加したハイエンドモデルで、位相補正などの調整機能を追加したヘッドホンアンプです。無線機のようなメーターがカッコ良くて、若い人はもとより、40代以上の無線、ラジオ世代が興味を示すことが多いです。

2 件のコメント:

  1. Duet2のブレイクアウト・ケーブルなのですが、ミキサーやセレクターの類のバランス入力はTRSが多いように思いますのでTRSのものもご検討頂ければ幸いです。

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  2. 入出力対応のものも検討中ですので、TRSタイプも検討させていただきます。貴重なご意見ありがとうございます。

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