このブログを検索

2010年7月22日木曜日

電源ケーブルの端末処理パターン!

先日、オヤイデ電気の公式ホームページに、自作講習会のときに参加者に配布した工作マニュアル集をPDFでアップしました。さらに今日、遅ればせながら「TUNAMI電源ケーブルの工作マニュアル」もアップしました!

ところで、このTUNAMI工作マニュアルでのTUNAMIの導体端末の処理方法は、Y字分けせずに、プラグ・コネクタ電極口に1本入れする工程で説明していま す。同講習会の2009/3/28実施分ではY字分け、4/4、4/11実施分では1本入れで工作を行いました。1本入れをやって改めて感じたのですが、5.5スケアもの極太撚線導体の1本入れは、綺麗に仕上げるのが非常に難しいということです。アース線に至っては、銅箔シールド のドレイン線(0.75スケア)も一緒に撚り合わせて電極(電源プラグ側のみ)に突っ込むのですから、5.5sq+0.75sqで6スケア弱の超極太線に なってしまいます。実際の講習会の現場では、ホット・コールドはかろうじて1本入れ出来ても、このアース線+ドレイン線を電源プラグに差し込むのがうまくいかず、Y字に変更して差込みなおす例が多々見受けられました。音は良いが、作るの難しい、それがTUNAMIの宿命であり、敷居の高さなのです。

そんなこんなで、TUNAMI電源ケーブル自作講習会は「Y字入れ」にて、もう一度やり直したい講習会なのです。

さて、Y字やら1本入れやら、なんのことやらわからんわ、という声が聞こえてきそうなので、以下にオヤイデの電源ケーブルを例にとって、端末処理パターンを説明します。


TUNAMIの1本入れ端末処理パターン。これは前述した工作マニュアルでの処理法です。この形状に端末を仕立ててから、3芯とも同時に、かつ慎重に電源プラグの電極差込み口に挿入するのです。

TUNAMIは5.5スケアの極太線で、しかもアース線はご覧の通り銅箔に沿わせたドレイン線と撚り合わせるので、6スケア以上になります。これをオヤイデやフルテックの電源プラグ・コネクターに差し込もうとすると、よほど熟練していない限り、差し込む際に端末がばらけてうまく差し込めないです。

一方、電源プラグによっては、その構造上、電源プラグの導体差込口が小さくて、1本入れで差し込む必要があるものもあります。具体的には、明工社ME2573,ME2591,ME7074,パナソニック電工(旧松下電工)WF5018,ハッベルHBL8215C,HBL8215CAT,HBL8215CT、ORB社製品などにTUNAMIを差し込むには、上写真のように1本入れにて端末処理します。なお、これら電源プラグは、導体差込口がすり鉢状のテーパー形状をしているため、5.5スケア線であっても、ばらけることなく意外とすんなり差し込めます。ただ、ドレイン線+アース線を撚り合わせた線は、さすがに太すぎて、撚り線を数本程度間引かざるを得ない場合もあります。

一本入れの場合、撚り線がばらけないように、ハンダで導体の先っちょを固める方法があります。この方法は、ダイナ植木店長の手法でもあり、一時わたしもこの方法を実践していました。この場合、多少なりともハンダの音が影響することと、ハンダを使わなければならないという面倒さ、それに5.5スケア線に対して綺麗にハンダを浸み込ませるのは、技術的になかなか難しく、下手をするとハンダを盛りすぎてプラグに差し込めなくなることもあり、そうなった場合、やすりがけで端末を整えねばならず、作業が煩雑になります。また、導体を加熱することによって、音質劣化が生ずるという方もいます。

また、Y型圧着端子や棒端子を導体に圧着やハンダ付けしてやると、プラグ・コネクターに差し込みやすくなります。これはこれで余計な端子が介在することによる音質劣化の懸念、端末処理作業が複雑になる、圧着工具が必要になる、良質な端子が入手しづらい、圧着に失敗すると端末処理を一からやりなおさないといけないなど、一長一短です。逆に言うと、良質な端子が入手でき、本格的な圧着工具を所有し、圧着に慣れている方なら、圧着端子による端末処理はベターな選択だと思う。なお、千円弱の簡易的な圧着工具は、圧着が不十分でお勧めできない。またペンチでの圧着も、圧着が不十分でお勧めできない。


TUNAMIのY字入れ端末処理パターン。TUNAMIの各芯線をそれぞれ略等分に分けて撚り、Yラグのような形状に仕立てます。TUNAMIをオヤイデやフルテック系の電源プラグ・IECコネクターに取り付ける場合は、このY字処理がお勧めです。私も普段、TUNAMIを扱う際にはこの端末処理を行っています。このように撚り線をY字型に仕立てることで、オヤイデやフルテック系製品の電極内中央を跨いでいるネジを回避でき、差込がスムーズに行えるのです。

なお、アース線は1/3と2/3程度に分けて、1/3の方にドレイン線を撚り合わせてやると、Y字にした際の2本の導体の太さがほぼ同じになって、より差し込みやすいです。

5.5スケア切り売り電源ケーブルとしてはTUNAMI以外に、例えばアクロリンクの6N-P4030、アコースティックリバイブのパワーマックス8800、オヤイデ電気のTUNAMI NIGOなどがあります。

5.5スケア線であっても、フジクラのCV-S5.5は、素線が太くて、しかも7本撚りと素線数が少なく、差込時にばらけにくいので、1本入れが基本です。また、オヤイデのEE/F-S2.6は、導体断面積が5.5スケア相当ですが、単線なのでY字に分けようがなく、また撚り線のようにばらけようがないので、必然的に1本入れになります。


ついでに、こちらBlackMambaの1本入れ端末処理パターン。BlackMambaは3.5スケア線で、TUNAMIの60%弱の導体断面積です。したがって、オヤイデやフルテック系の電源プラグ・IECコネクターにも、1本入れでなんとか対応可能です。ただし、アース線にドレイン線を撚り合わせると4スケア以上になり、差込にてこずります。よってBlackMambaにおいても、アース線のみY字にするか、3芯ともY字にするのがお勧めです。


BlackMambaのY字入れ端末処理パターン。オヤイデやフルテック系の電源プラグ・IECコネクターにBlackMambaを取り付ける際、3.5スケア導体といえどもY字入れにした方が導体がばらけずに、スムーズに差し込めます。

なお、スペック上は同じ3.5スケア線の産業用VCT3.5キャブタイヤケーブルは、Y字にしなくてもすんなりと電源プラグに差込めたりします。これはおそらくVCTの導体(3Nから4Nの電気銅)がPCOCC-A導体に比して柔らかく、差し込み前にしっかりと撚っておきさえすれば、ばらけにくいためでしょう。PCOCC-A導体は、電気銅に比して不純物が少なく(5Nから6N相当)、結晶粒界も少ないため、その手触りや物性が明らかに異なっており、音は圧倒的に良いものの、端末処理にコツを要する導体なのです。


オヤイデ電気PA-23の1本入れ端末処理パターン。PA-23は2スケア導体なので、これはもうY字にすることなく、どんなメーカーの電源プラグ・IECコネクターにもすんなり差込可能です。なお、PA-23には銅箔があるものの、ドレイン線は元々ありません。


Li50 OFCの端末処理パターン。Liシリーズの電源ケーブルは、4芯対角構造、すなわちスターカッド線なので、ホット・コールドともに2芯あります。1芯あたり2スケアです。私の経験上、オヤイデやフルテック系の電源プラグ・IECコネクターにLi50もしくはLi50OFCを取り付ける際は、ホット・コールドそれぞれ2芯づつを撚り合わせず、上写真のように個別の状態で導体を強く撚っておいてから、プラグ・コネクターに差し込むのがお勧めです。

Li50にはアース線が存在しませんが、上写真にあるように、L/i50 OFCには錫メッキされた裸のアース線が設けられています。ホット・コールド線との万が一のショートを避けるため、露出しているアース線の根元付近には、φ2程度の熱収縮チューブを被覆してやるとよいでしょう。


L/i-50 OFCのホット・コールドそれぞれの各芯線を撚り合わせて1本入れにしたパターン。2スケアX2本で、計4スケアとかなり太くなり、オヤイデやフルテック系のプラグ・コネクターには差し込みにくくなります。この状態に仕立てる必要のあるプラグ・コネクターは、前述したとおり明工社ME2573,ME2591,ME7074,パナソニック電工(旧松下電工)WF5018,ハッベルHBL8215C,HBL8215CAT,HBL8215CTなどです。

なお、上述した一連の端末処理の仕上がり形状の写真は、電源プラグに差込む側のケーブル端末を撮影したものです。IECコネクター側では、ドレイン線はアース線と結線せずに切り落とす、ホット/コールド線のY字の向きが90度違う(オヤイデのIECコネクターに差込む場合)など、仕上がり形状が一部異なります。

では、これらの端末処理方法を参考に、皆さんも電源ケーブルの自作に励んでくださいね。

0 件のコメント:

コメントを投稿